親はなぜ片付けられないのか~押し入れの中
押し入れの中はタイムカプセル
押し入れの中には、本人も忘れているものが詰められている場合があります。
いつか役に立つだろうと思ってしまっている物たちで、出番を待って数十年…ということも普通です。
中には、すでに50歳を超えている子供たちが使っていたおもちゃや、親御さんご自身が働いていたころに身に着けていた服、バッグ。子世代から見ると、「もう、絶対に使わないでしょう。」というものが、ぎゅうぎゅう詰めになって押し入れには眠っています。
だんだん体力がなくなってくると、押し入れや、戸棚、引き出しの中の物はほとんど使っていないもので占められ、日常使用しているものは、テーブルの上、床の上に出しっぱなしになっていくのです。
片付けをおっくうにするのは体力の衰え
日常生活を続けるには、結構体力を使います。食事の支度一つとっても、米を研ぎ、おかまに入れる。それを炊飯器にセットするにも体力を消耗するのです。
野菜を包丁で切る。子世代がほんの10分でできる事でも、硬いものが食べられないから細かく切っていると、1時間くらいかかるのです。
日常、ローテーションのように行っている動作だけだと親御さんご自身が体力と折り合いをつけているのでこなせますが、非日常的な動作、”押し入れを片付ける”ことは、一気に体力を消耗させ、取り戻すのに日にちを要します。これがつらいのです。
決して、親御さんがずぼらになったわけではないのです。
子世代はそんなこと、当然わかっています。
「だから手伝うって言っているのよ。いらないものは捨てましょう。」と。
でも、親御さんにとっては、全てが捨てられない大切な物なのです。